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生計の資本としての贈与とは何?

2013.10.20

よく贈与の中でも「特別受益」に該当する内容として、「生計の資本としての贈与」というのがよく出てきます。もし特別受益に該当すれば遺産分割においても遺留分の計算でも問題になり、実務上争いの元になるケースも多々あります。そこで今回は、具体的には何が該当して、該当しないのかについてご説明いたします。

 

1.学資(入学金・学費等)

被相続人の生前の資力、社会的地位、他の相続人との比較などを総合的に考慮して判断されます。ただし、現在の学歴水準からすれば、一般的には、私立医学部への進学や海外留学など特別に多額なものでない限り、特別受益には該当しないと考えられます。

 

2.お祝い金

新築祝い・入学祝いなどが問題とされることがありますが、特別に多額なものでない限り、特別受益には該当しないと考えられます。

 

3.生活費の援助

基本的には、扶養義務に基づくものとして、特別受益には該当しないと考えます。

 

4.土地を無償での使用

相続人が、被相続人の土地を無償で利用して建物を建てた場合、土地について使用貸借権の設定を受けたと評価できます。この場合、使用貸借権の贈与を受けたものとして、使用貸借権相当額(更地の10%から30%程度)が特別受益に該当するものと考えます。

 ただ、建物において被相続人と同居し、被相続人の面倒を見ていたというような場合、土地使用の利益は実質的に対価関係に立つことになるため、特別受益には該当しないと考えます。

 

5.建物の無償使用

(1) 相続人に独立の占有が認められる場合(別の建物や二世帯住宅)

賃料相当額が特別受益に該当するかが問題となりますが、基本的には、特別受益に該当しないと考えます。

(2) 相続人に独立の占有が認められない場合(同居)

使用借権が認められない以上、特別受益には該当しないと考えます。

 

 

6.生命保険金

 死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金

(1) 原則

   原則として特別受益には該当しません。

(2) 例外

  保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生じる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて取り扱われることになります(最判H16.10.29)。

 なお、特段の事情の有無については、保険金の額、遺産総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人の関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断されることになります。

 

7.死亡退職金・遺族給付

基本的には、特別受益には該当しないと考えます。

 

以上、他にもいつくか対象となるものもありますので、詳しくは専門家までご確認ください。

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筆者紹介

伊瀬知 晃
福岡相続サポートセンター
代表取締役 会長

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